雨があがったら

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zoom RSS 風 花 26

<<   作成日時 : 2005/11/11 20:35   >>

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病院に着いた二人はまず聡の病室へ向った。
早苗に聞いた話は黙って
「今日はいつもより元気良さそうだな。」 と恭介が話しかけると
「ああ 元気だ。早く退院しなきゃないからな。」
「どうしたんだ? 退院だなんて初めて聞いたよ。何かあった?」
「お前 真咲が事故で入院していたのを黙っていただろう。神林くんもな。」
恭介と雅紀が顔を見合わせる。
「父さん どうしてそれを…」
「今日真咲が来た。『お父さん』と呼んでくれたよ…」
「本当ですか?」
「ああ…一緒に退院するって約束したからな。今夜はご飯も全部食べたよ。」 微笑みながら言う。
「息子の言うことは聞かないのに、娘のいうことは聞くんですか?」と恭介が皮肉半分でからかうと
「当たり前だ。あんなに可愛いんだぞ 真咲はどこにも嫁にやらないでそばに置いておくんだから。お前もそのつもりでな。」と真面目に答える。

「おい 神林くん好きな女の子にこんな頑固な父親がいて 今みたいな事言ったらどうする?」
雅紀は昼間 恭介が言った言葉を思い出した。
「好きな子の為だったら何でもするか?」
もしかしたら 恭介は真咲が聡に会いに来ていたことを知っていたのかもしれない。
そうだ 真咲からメールが来ていた。『出掛けて来ます。』と・・・
恭介は雅紀たちが互いに想いあっていたのを知っていたのだろう。それで訊く振りをして…ふと笑みが洩れた。
「どんな事をしても許して頂きます。奪っていくわけには行きませんから。それに父親は娘に弱いと聞きますから、娘が言えばどんな父親でも最後は許してくれると思います。」
「そうか。そうだな親父のいうこと聞いてたら一生独身で過ごさなきゃなくなる。」
「何なんだ お前達は。 おい恭介 真咲の見合い話なんて持ってくるんじゃないぞ。」
「あ〜あ 帰ろうか神林くん。元気になった途端にこれじゃ…また来ますよ。」

廊下に出ると恭介は笑いを堪え切れずに「クッ クッ…」と背中を丸くしている。
「聞いたか?神林くん。あの変わりよう…呆れてしまうな。」
「本当に変わるものですね。驚きました。でもこれで元気になってくれたらいいですね。」
「まったくだ。どんな薬より効くようだな。」
真咲の病室をノックする。
「はい。」真咲の声がした。

「今 父のところに行って来たんだ。とても元気になっていたよ。キミのおかげだ ありがとう。」
恭介は素直に礼を言った。
「お礼を言われることはしていません。 ただ…やっぱり親子だと…私の方が謝らなきゃいけないこと沢山あります。 すみませんでした。」
「いや みんな忘れよう。今日から親子で兄妹だと思えばいい。退院したら皆でお祝いしよう。」
「はい。」
「じゃあ今夜は帰るよ。今度は家族で来るよ。」 優しい笑みだった。
「あっ 神林くんはまだ居たほうがいい。二人であの頑固親父への対抗策を考えておいた方がいいよ。」 悪戯っ子のようなキラッとした瞳で二人を見て病室を出て行った。
理由が判らない真咲は不思議そうな顔をし、からかわれたと知った雅紀は「社長…」とつぶやいた。
「何でしょう 対抗策って?」 真咲が訊くと
困ったような それでいて照れてるような そんな顔で雅紀は聡の病室でのいきさつを話し、
「…で 対抗策なんだよ。」
「じゃあ 松岡さんは知っているんですね…私たちのこと。」
「ああ 特別話したわけじゃないんだけど、何故か知っていた(笑) まあそれはそれで話す手間が省けていいんだけど、会長があそこまでだとは思わなかった(笑)。」
「ふふ 神林さんでも困ることあったんですね。」 
笑った真咲の顔が今までとは違う笑顔に見えた。
どこがどう違うと訊かれても 上手く口で説明できないが…違って見えた。
「うん…今も困っている…真咲ちゃんが可愛くて困ってる。」
そう言うと それを聞いて頬を紅くした真咲を抱きしめ唇を重ねた。
・・・愛しているよ・・・そう囁いて。

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