ひまわり 23

会社に行くと周りから冷やかされている吉川がいた。
「おお~今度はお姫様の登場だよ。」 黒田が梢の姿をみて 更に冷やかす。
「ご迷惑をお掛けしました。申し訳ありませんでした。」 そう言って梢は頭を下げた。
「大丈夫ですか? エレベーターも罪な事しましたね。」 課長がそう声を掛けてきた。
「はい もう大丈夫です。」
「じゃ 皆も仕事について 王子様もお姫様も頑張ってくださいよ(笑)」
エレベーターでの事だけでなく 二人でホテルに泊まったことまで皆に知られたようで梢はドキドキしていた。
・・・冷静に 平然と・・・ゆっくり自分に言い聞かせていた。が平静を装うのは大変だと実感した。

浩志が自分の席へ着こうとしていて思いがけない名前を聞いた。
「営業の吉川さんと結城さんでしょ。 カッコよかった~」
・・・吉川さんと梢?なんのことだ?・・・
「何の話?」と近くにいた女性に聞いてみた。
「相田さん 金曜…あっ 出掛けていたから知らなかったんですね。」
その女性はエレベーターの話を感激したままに浩志に教えた。
「カッコ良かったんですよ~ こうして抱いて…結城さんは吉川さんの胸に…」
もう浩志には聞こえていない。 あの日 社に戻ったときタクシーを見送っていた太田と史恵を見つけたが絵美のこと以来気まずいままだったので、声をかけるのをためらい中へ入った…
もしかしたらあのタクシーに梢と吉川が…
人目がなかったら泣きたい気分の浩志だった。
もしかしたら別れ話はなかったことに…と梢が言い出すのを待っていた。
着信拒否も解除されるかも と思っていた。 だがそんな大変な日に その後も 梢からは一度の電話も無かった。頼ることもされていない。
もしこれが3ヶ月前だったら…
太田がいうように全部自分のせいだ。 絵美の妊娠も 梢からの別れ話も…
席を離れ ある番号へ電話した。

「もしもし営業の結城です。」
「俺 相田です。 そのまま聞いて…この前の話だけど…別れるよ…今まで悪かった。じゃあ…」
梢は受話器を持ったままじっとしていた 泣いているようにも聞こえた。
・・・別れる 浩志…別れる・・・
「どうしたの?」 受話器を持ったまま 放心したような梢に吉川が聞いた。
「いえ… 間違い電話でした。」
浩志の思いがけない電話にとまどった。
待ち望んだ『別れる』という言葉だったのに…こんな風に事務的に…終わったの?
心のどこかでずっと張り詰めていた物がすーっと消えて行く様な少しの感傷が梢にあった。
もう少し嬉しさが有るかと思っていたのが…浩志ごめんね…浩志だけのせいじゃないのに…
席を立ち空いている室へ入り、落ち着こうと思い窓の外を見つめた。
涙が流れた。

戻らないと と思い 出ようとドアノブに手を伸ばすと同時に廊下側に開いて驚いた。
「きゃ 吉川さん!」
「おっ ごめん。」 素早くドアを閉めて入ってきた。
「どうした? 何かあったの?」
「うん…相田さんが電話で別れるって…そう言われるのを待っていたのにいざとなったらなんだか…彼が悪いんじゃないのに…」
「そう…」 梢を抱き寄せて
「頑張れ・・・この部屋でたらシャンとして戻るんだよ。わかった?」
頷く梢に微笑みながら 先に自分が出て行った。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2005年07月28日 23:06
浩志決断はやっ!
ふたりのこと聞いて もっとジェラしって燃えるかと
思ったのに案外 へぼかったんだねぇ・・・。
そんなんで絵美はどうすんだよ~!
はる
2005年07月29日 14:37
まだまだ浩志には…あるんです山も谷も。
2005年07月30日 19:55
あーよかった。
うん ドロドロ好きなので よろしく^^

この記事へのトラックバック